SUIT ISM 04

サルトの世界とモーダの世界

  伝統というのは、ファッションの世界では保守的ということでコンサバティブ。略してコンサバといいます。そのコンサバと対極に位置するのがモーダです。

 伝統的な美しさに価値を見出すコンサバに対し、独創的な世界の表現。それがモーダです。モーダと言えばパリ。パリといえばモーダというふうに、パリはモーダの世界を今も昔もけん引してきました。ココ・シャネル、ディオール、サン・ローランに始まり、バレンチノ、アルマーニ、ラガーフェルド。そして現在世界中を席巻しているトム・フォードに至るまで、脈々と奇跡の世界は続きます。

 私の仕事、イタリア語で「サルト」=仕立て屋は、コンサバが基本世界となります。伝統的と言いましても、何も古典的なスタイルを目指して物づくりをするわけではありません。コンサバの世界も日々進化し、さらなる美しさを模索していきます。ただ、世界中どこへ行っても安心な服作りが求められるのです。「サルト・仕立て屋」の仕事は、お客様が世界中で決して後ろ指をさされない事がまず大前提で要求されます。

 次に、千差万別のお客様の体を理解し、それぞれの体型を服で補正し、服の力によってより美しく見せるという仕事も「サルト」の真髄であります。そのためにサルトは、型紙の数ミリ、着丈の1センチの世界で研究を深め、試行錯誤を繰り返します。

 そういったサルトの仕事と、対極に位置するのが「モーダ」の世界です。

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